脂質異常症の人の中には、生活習慣などが原因ではなく遺伝による体質が原因の人もいます。
遺伝によってLDLコレステロールが血液中に増えやすくなり、総コレステロール値が高くなることを、家族性高コレステロール血症と言います。

この記事では、家族性高コレステロール血症について詳しく説明していきます。

家族性高コレステロール血症ってどんな病気?

食生活や運動不足によってLDLコレステロールが増えるのではなく、生まれつき、遺伝によってLDLコレステロールが増えやすい人がいます。
遺伝によりLDLコレステロール値が高くなることを、家族性高コレステロール血症と言います。

ではなぜ、遺伝的にLDLコレステロールが増えやすくなるのでしょうか?

それは家族性高コレステロール血症の人に、LDL受容体という物質が生まれつき少ないからです。

LDL受容体は、LDLコレステロールを血液中から細胞に取り込む機能を持っています。
そのためLDL受容体が少ないと、LDLコレステロールが細胞に取り込まれず、血液中にどんどんたまってしまいます。

そして家族性高コレステロール血症の人は、血中にコレステロールが溜まりやすく、動脈硬化になる危険性も高いのです。

家族性高コレステロール血症の2つの種類|ホモ接合体とヘテロ接合体

家族性高コレステロール血症は、遺伝子のタイプによって2つに分けられます。

1つは両親ともに家族性高コレステロール血症のタイプです。
このタイプを、家族性高コレステロール血症ホモ接合体と言います。

もう1つは、両親どちらかから家族性高コレステロール血症の遺伝子を受け継ぐタイプです。
このタイプを、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体と言います。

この2つのタイプには、病状の重さや患者数に違いがあります。

家族性高コレステロール血症ホモ接合体

家族性高コレステロール血症ホモ接合体の場合、両親からその遺伝子を受け継いでいるため、病状が重くなります。
ホモ接合体の場合は、血液中の総コレステロール(LDLコレステロール値とHDLコレステロールの合計)の値が大体600㎎/dl以上に。

総コレステロール値は通常120~220mg/dlが正常値なので、ホモ接合体の人は非常に高くなることが分かります。

ただホモ接合体は、両親が家族性高コレステロール血症の場合に限るので発症数は少なく、100万人に1人ほどと言われています。

家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体

家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体は、両親のうち片方からのみ遺伝子を受け継いでいるので、ホモ接合体よりは症状が軽くなります。
血液中の総コレステロール値は、およそ450mg/dlです。

正常値の2倍以上あるので、動脈硬化のリスクは高くなります。

またヘテロ接合体は発症条件がホモ接合体よりも緩いため発症数が多く、500人に1人以上が発症すると言われています。

家族に脂質異常症の人がいたら、家族性高コレステロール血症の可能性あり

家族性高コレステロール血症は、両親両方もしくは片方からの遺伝によって発症します。

そのため家族に以下のような人がいる場合は、注意が必要です。

  • LDLコレステロール値が180㎎/dl以上
  • 脂質異常症の治療をしている
  • 若年性(男性は55歳以下、女性は65歳以下)冠動脈疾患を抱えている

これらに当てはまる家族がいる場合は、その人が家族性高コレステロール血症の可能性があります。
家族性高コレステロール血症は遺伝するので、その場合は自分も家族性高コレステロール血症の可能性があります。

家族性高コレステロール血症はどんな診断基準でわかるの?

家族性高コレステロール血症の人は、LDLコレステロール値が高いという症状の他に、以下のような目に見える2つの症状があります。

  • アキレス腱のあたりに黄色腫(黄色いイボ)ができる
  • 角膜輪(目の瞳の周りに白い輪)ができる

これらの症状が10歳頃からみられると、家族性高コレステロール血症である可能性が高いと診断され、血液検査が行われます。

家族性高コレステロール血症の治療法は?

家族性高コレステロール血症の治療法は、通常の脂質異常症の場合と同じく食事療法や運動療法、薬物療法によって行われます。

ただ、これらの治療法によっても改善されないほど重症の場合もあります。
その場合は、LDLアフェレシスという治療法を用います。

LDLアフェレシスとは、器械装置を使って血液から直接LDLコレステロールを取り除く方法です。
この方法では1回3時間の治療で、250~30mg/dlあった総コレステロール値を100mg/dlほどまで下げることができます。

しかし治療後はまたLDLコレステロールが増えるので、1~2週間に1度定期的に治療を受ける必要があります。