糖尿病とは

血糖値とは

糖尿病の話に入る前に、まずは血糖値について説明します。

人間の体を動かすエネルギー源は、米や小麦などに含まれる炭水化物を原料に作られます。
炭水化物は、腸でブドウ糖という物質まで分解されてから吸収されます。

その後ブドウ糖は、肝臓を通って血液に送り込まれます。血糖とはこの、「血液中にあるブドウ糖」のことです。
そして血糖値は、血液中にどのくらいの濃度でブドウ糖があるのかという値です。

糖尿病は様々な合併症の原因に

血糖値が高くなりすぎている状態のことを、糖尿病といいます。
糖尿病になると、視力の低下や神経の障害など様々な合併症を引き起こしやすくなります。

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糖尿病の3つの種類

糖尿病には、主に以下の3つの種類があります。

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • 妊娠糖尿病

1型糖尿病

1型糖尿病は、発症数が極めて少ない種類の糖尿病です。

人間の体は血糖値が高くなると、細胞にブドウ糖を吸収させて血糖値を下げようとします。
このとき、血糖値を下げる働きをするのがインスリンというホルモンです。

インスリンはすい臓という臓器から分泌されています。

しかし1型糖尿病の人はすい臓にあるインスリンを分泌するための細胞が、何らかの原因で破壊されてしまっています。
そのためインスリンが分泌されなくなり、血糖値がいつまでたっても下がらないのです。

2型糖尿病

2型糖尿病は、糖尿病患者の約95%を占める糖尿病です。

2型糖尿病は、肥満が原因で起こります。

まず肥満になると、中性脂肪が蓄積されます。
この溜まった中性脂肪から、インスリンの分泌や働きを抑える悪い物質がたくさん放出されます。

また中性脂肪は、余ったブドウ糖(エネルギー源)を貯蔵したものです。
そのため中性脂肪がたまりすぎるとブドウ糖を貯蔵できなくなり、余ったブドウ糖が血液中に放出されてしまいます。

さらに血糖値を下げようとすい臓がインスリンを分泌しても、以上の原因で血糖値が下がらないため、すい臓は疲れ果ててしまいます。
こうして最終的に、すい臓の力が弱まることでインスリンが分泌されなくなっていき、どんどん血糖値が上がっていくのです。

妊娠糖尿病

妊娠をするとホルモンバランスが崩れ、インスリンの働きが弱くなります。
そのため血糖値が高くなりやすく、糖尿病になりやすいのです。

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糖尿病の3つの危険因子

糖尿病には3つの危険因子があります。

  • 遺伝
  • 肥満
  • ストレス

遺伝

糖尿病は、家族や親戚に糖尿病患者がいる場合に起こりやすいと言われています。

しかし遺伝だからといってあきらめるのではなく、食事や生活習慣を改善することは大切です。
なぜなら遺伝によって糖尿病になりやすいというだけで、必ず糖尿病になる訳ではないからです。

肥満

2型糖尿病の原因で触れたように、肥満は糖尿病の最大の危険因子です。
肥満さえ解消すれば、糖尿病のリスクは劇的に低くなります。

なぜなら、肥満体の人は適正体重の人と比べて3~4倍も糖尿病になりやすいからです。

ストレス

現代社会は、非常にストレスを受けやすくなっています。
このストレスも、糖尿病の危険因子となります。

ストレスを受けると、血糖値が上昇するという研究結果もあるのです。

そのため無理なダイエットや食事制限は、糖尿病に逆効果であると言えます。


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糖尿病になるとどんな症状が起こるの?

糖尿病は初期症状がないまま進行する

糖尿病の初期段階では、自覚症状が全くありません。
そのため、知らず知らずのうちに糖尿病が進行してしまうのです。

だから、血糖値を定期的に測ることが大切です。

糖尿病が進行した時の典型的な症状

糖尿病が進行してきてから感じる症状としては、以下の3つが挙げられます。

  • のどが渇き、水をたくさん飲む
  • 体がだるくなる
  • 甘いものをたくさん食べたくなる

これらの症状が出始めたら、すぐに病院に行くようにしましょう。

糖尿病の3大合併症

糖尿病には、注意すべき3つの合併症があります。

  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病神経障害

糖尿病性腎症

腎臓は血液をろ過し、要らなくなった老廃物を尿にして体外に出しています。

糖尿病になると、血液中のブドウ糖によって腎臓内の血管が傷つけられます。
そうすると、腎不全(腎臓の機能が低下すること)になります。

腎不全になると老廃物を尿として出すことができなくなり、老廃物が体内にどんどんたまっていきます。
これがどんどん進行すると、尿毒症という命のかかわる病気になってしまいます。

糖尿病網膜症

糖尿病になって血液中にたくさんのブドウ糖があると、目の中の血管を傷つける可能性があります。
この出血はすぐには気づかないことが多く、放っておくとどんどん出血範囲が広がって目が見えなくなってきます。

そして最終的には、失明(目が全く見えなくなること)する可能性もあります。

糖尿病神経障害

糖尿病になると上の2つの合併症の様に血管を傷つけるだけでなく、神経を傷つけることもあります。

多くの場合足がしびれ、だんだんと感覚を失っていきます。
足の先にけがをしても気が付かなくなり、そのまま菌に感染して壊疽(黒く変色すること)してしまいます。

最悪の場合は、足を切断しなくてはならないそうです。

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糖尿病の検査ではどんなことをするの?

検査名 糖尿病と判断される基準 備考
尿糖検査 尿糖が検出されると、高血糖の疑いあり 尿から糖が検出されるかどうかを検査する
ヘモグロビンA1c検査 6.5%以上で糖尿病 ヘモグロビン全体におけるグリコヘモグロビンの割合を検査する
血糖検査 正常値 境界値 糖尿値 2つとも正常値で正常
2つとも糖尿値で糖尿病
それ以外の場合は
境界型糖尿病
空腹時
血糖値
~110mg/dl 110mg/dl
~126mg/dl
126mg/dl~
ブドウ糖負荷試験 ~140mg/dl 140mg/dl
~200mg/dl
200mg/dl~

尿糖検査

尿糖検査は、尿に糖が検出されるかどうかを調べる検査です。

尿に糖が含まれている場合は、一般的には血糖値が170㎎/dl以上あります。
これは、いわゆる高血糖に該当する数値です。

ヘモグロビンA1c(HbA1c)検査

血液中には、酸素を運ぶ役目をするヘモグロビンという物質があります。
このヘモグロビンは、ブドウ糖とくっついてグリコヘモグロビンという物質になります。

このグリコヘモグロビンがヘモグロビン全体に対してどのくらいの割合を占めるかを検査するのが、ヘモグロビンA1c検査です。
グリコヘモグロビンの割合が6.5%以上であれば、糖尿病と診断されます。

血糖検査

空腹時血糖値検査

朝食前の何も食べていない時に測る血糖値が、空腹時血糖値です。
この時間に測るのは、血糖値が最も低い時間だからです。

この数値が110㎎/dl未満だと正常、126mg/dl以上だと糖尿病の疑いがあります。

ブドウ糖負荷試験

ブドウ糖負荷試験では、朝食を抜いて75gのブドウ糖液を飲みます。
そしてブドウ糖液を飲んでから30分後、1時間後、2時間後に血糖値を測ってその変化を調べます。

この2時間後の値が140mg/dlの場合が正常、200㎎/dl以上で糖尿病の可能性があります。

血糖検査による糖尿病の診断方法

上の表の備考にあるように、空腹時血糖値とブドウ糖負荷試験の結果を総合的に見て糖尿病の診断をします。

空腹時血糖値が126mg/dl以上かつブドウ糖負荷試験の2時間値が200mg/dl以上なら糖尿病
空腹時血糖値が110mg/dl未満かつブドウ糖負荷試験の2時間値が140mg/dl未満正常と診断されます。

それ以外の場合(例:空腹時血糖値は正常だがブドウ糖負荷試験2時間値は糖尿の疑いあり)は、境界型糖尿病(糖尿病予備群)なので注意が必要です。

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糖尿病の予防には、食生活の改善と運動が不可欠

糖尿病の危険因子の部分で触れたように、肥満をしないことが糖尿病の予防にとって一番大切です。
ここでは、肥満を予防するための食事と運動について説明していきます。

食事による糖尿病予防のために、押さえておきたい6つのポイント

食事のポイントは、以下の7点です。

  • 食べ過ぎないで腹8分目
  • 早食いをせずよく噛んで食べる
  • アルコールを控える
  • 1日3食食べる
  • 肉・炭水化物を減らして、野菜・魚を多くする
  • できるだけ薄味にする
  • 中性脂肪・コレステロールを減らす

まず食べ過ぎを抑えるためには、よく噛んで食べることが大切です。
よく噛むと少ない量でも満腹感を感じることができます。

またアルコールには食欲を促進する作用があるので、これも控えましょう。

さらに、1日3食バランスよく食べることも重要。
朝食を抜いて昼にその分多く食べるのは、かえって肥満になりやすいです。

そして、食事の量だけでなく中身の改善もしましょう。

特に、中性脂肪やコレステロールを多く含む動物性脂肪(バターなど)は控えるようにしましょう。

適度な運動で、糖尿病になりにくい体づくり

肥満を解消するためには、食事の制限だけでは不十分です。
無理に食事の量だけを極端に減らしてダイエットをしても、リバウンドでまた体重が元に戻ってしまいます。

先ほど触れた食生活の改善とともに、適度な運動をして筋肉を付けることも大切です。
それにより太りにくい体になるので、リバウンドの心配もなくなります。

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糖尿病の治療方法

糖尿病治療薬だけに頼っても、糖尿病は治らない

糖尿病の治療薬には様々な種類のものがあります。
例えば、インスリンの分泌を多くする薬やインスリンの働きを強くする薬が挙げられます。

しかしこうした治療薬は一時的に血糖値の数値を下げるためのものであって、根本から糖尿病が治るわけではありません。
なぜなら血糖値が一時的に下がったとしても、肥満のままではまた血糖値が上昇してしまいます。

そのため先ほどの予防で挙げた食生活の改善と運動が、糖尿病治療にも大切なのです。

最新のインスリン注射は痛みがほとんどない

インスリン注射は、治療薬を使っても血糖値が上昇してしまったり、遺伝的にインスリンがほとんど分泌されなかったりする人に行われる治療です。
この治療では、患者さんがインスリンを自分で直接皮膚の下に注射します。

このようにインスリンを直接皮下に注射することで、血糖値を下げることができます。

注射と聞くと、「痛そうでいやだな」と思いますよね。
しかし最近の注射器は針が細く、ほとんど痛みがないそうなので安心してください。

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